はじめに
8月に東京科学大学数理・計算科学系の大学院入試B日程を受験してきました。この記事では、よく読まれている院試体験記を参考にしつつ、自分の受験を振り返って「勉強内容」と「試験内容」を中心にまとめます。
まだ記憶が新しいうちに、後輩の方や来年受験する方の参考になるよう、なるべく具体的に書きます。
あくまでも受かって気分がいいときに書いているのでポジショントークが痛いかもしれません。嫌な気分になった方はすみません、イキれるほどたいそうな人間ではないのでそんなに書いていないとは思いますが、、、
筆者スペック・受験概要
まずは私のスペックです。
- 所属: 東京科学大学 数理・計算科学系 B4
- 志望: 東京科学大学 数理・計算科学系
- GPA: 2.26
- 英語: TOEIC 735点
- 受験方式: B日程
- 合否: 合格
GPAを見てもらったらわかるのですが、特段学部時代は勉強していませんでした。東京科学大学の学生は2年生に上がるときにいわゆる進振りのようなものがあり、情報理工学院は 情報工学系と数理・計算科学系に分かれます。数理は毎年ボーダーフリーでかくいう私も情報工学系に進めずに数理への配属となりました。正直この時点であまりやる気は起こりませんよね。
受験科目・配点
一応具体的な配点は公表されていませんが、ブログを参考にわかる部分をまとめます。信憑性はありません。
| 科目 | 形式 | 配点・時間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 英語 | TOEICスコア提出 | 20点 | ブログの開示結果より |
| 専門科目 | 筆記試験 | 100点/210分 | |
| 口頭試問 | 面接 | 配点不明/約10分 |
面接の内容って詳しく書いたらまずかった気がする(?)ので、あまり詳しくは書けませんが...
志望理由・志望校選び
- なぜ内部進学を選んだのか: 私が現在所属している研究室の専攻を他大学で学ぶには情報工学で院試を受ける必要があった。実際に他大学の問題を**5月くらいに見てみたときに本当に解けなかったので、今の専攻で最も受かりそうだった。
- 他に併願した大学院があるか: なし。
全体スケジュール
院試関連で何をやったかを時期ごとに表にします。詳しくは下の章で書きます。
| 時期 | やったこと | 詳細 |
|---|---|---|
| B3 3月 | TOEIC受験 | 4月か5月までに取った記録しか出願間に合わないので注意 |
| B4 〜5月中 | 受ける学校調べと問題を見る | |
| B4 6月初頭 | 出願 | |
| B4 6月 | 科学大の過去問を始める(分野ごと) | 平均して1日3時間くらい? |
| B4 7月 | 過去問(分野ごと) | 1日5時間くらい? |
| B4 8月 | 過去問と気になる部分の練習問題 | 一日7-8時間くらい? |
| 8月下旬 | 試験 | — |
詳しくは下の章で書きますが、私の場合は主に過去問をメインでやっていました。科学大の学部生の場合は、研究室の先輩や同期などのコミュニティを駆使して過去問を集めるといいと思います。 私は平成13年度から解きました。
また、TOEICは早めに終わらせる方がいいです。出願時期に間に合わせるためには、遅くても5月の試験(年度によって違う?)だと思いますので早めから対策してください。 ただし、数理では、TOEICの点数はそこまで気にする必要がないという記事も見ました(500点取れていない?けど配点の6割くらいもらえたとか?750点ほど取れば満点換算だという噂もあります。あくまでも噂です。)
勉強内容
英語(TOEIC スコア提出)
- 最終スコア: 735点(2026年3月受験)
- 使った教材:
- 単語: 金のフレーズ
TOEICに関してですが、私はほとんど勉強していませんでした。ある程度点は取れているのでイキリ発言ではありますが、金フレも100番くらいまで、TOEICの公式問題集などで類題を解いたことはありません。 一応当日に、問題形式とどれくらいのペースで解けばいいかというのはネットで見て行きましたがその程度です。
さて、こんなイキリ発言をしていますが理由があります。以下の二つです。
- 専門科目の配点が100点に対し、TOEICの配点が20点とそこまで高くないため
- (信憑性はないが)ブログでTOEICの点数は高くなればなるほどさ差が生まれにくくなるという記事を見たため
前者は客観的な事実です。後者に関しては、まずまず数理の得点開示をしている記事がほとんどないのでわかりません。私も覚えていたら得点開示をして書き足そうとは思っています。 また、後者に関してのソースはあげません。
(数少ない数理の院試の記事の中に、「彼女に誘われて大学院説明会に行きましたwwww」のようにイキっている記事があって気分が悪いから見に行きたくないです。ちなみに数理の内部生は結構この記事知っていますがありえんくらい冷笑されています。負け犬の遠吠えですが。誰が知らんやつの惚気話聞きたいねんまじで。)
専門科目ー概要ー
専門科目の対策についてはある程度詳しく書かせていただきたいと思っています。まず、どんな内容かについてですが、
- 問A~Cの中から2問を選択
- 問1~9の中から3問を選択
の計5問を解く形式になります。具体的な内容に関しては、
| 問題 | 分野 |
|---|---|
| 問A | 線型代数 |
| 問B | 微分積分 |
| 問C | 離散数学や数理論理学、アルゴリズムなど |
| 問1 | 代数学 (群論・環論) |
| 問2 | 位相 |
| 問3 | 微分方程式や関数解析 |
| 問4 | 線形計画法 |
| 問5 | 確率論 |
| 問6 | 数理統計学 |
| 問7 | 形式言語理論 |
| 問8 | アルゴリズム |
| 問9 | コンピュータアーキテクチャやオペレーティングシステム |
です。私は、A、B、4、6、7を勉強しました。これらの問題を対策した理由としては、研究室の先輩がここら辺が対策しやすいと言っていたこと、周りでこの対策をする人が多かったこと、そして授業でやった内容をほとんど覚えていない状態でも取り掛かりやすそうである(典型問題が多い)ことです。
私の勉強方法としては、どの科目も基本的に一貫していて、
- Claudeに過去問を投げて、教材を作成させる
- 教材を軽く読む
- 過去問を解く
- 必要であれば教科書をやる
このサイクルです。とりあえず質の高い演習をたくさんやりたいということで過去問を解きながら必要な知識をつけていくという手段を取りました。私としてはこのやり方は正解だったと思っています。事実、私より早く対策を始めている人はもう少し早くの段階から 教科書をやっていましたが、時間がそこまでなかったので効率的に過去問を解きながら必要な知識をつけられたと思っています。
ただし、注意点として、 年代によって傾向が変わっている印象があります。 過去問は大昔(-H16くらい?)は結構簡単で、中昔(-H31くらい?)は背景知識や理論的なことも聞いてきて、最近は理論的なことではなく性質を正しく使って計算できるかみたいな能力が問われている気がします。理由は定かではありませんが、もともと東工大が類だった時代に 数理計算は現在の理学院と同じところにいた関係で、理論的な部分が少し多かったのかな?という予想を周りで立てていました。なので、最終的に当てになる過去問としては令和に入ったくらいからなのかなと思っていますが、単純に知識を積むためにそれまでの過去問を解くのもありだと思います。 いい教科書とかあったらそれでいいかも。
また、他大学の過去問を演習問題として使う際の注意点として、大学によって聞かれることが違ったりします。たとえば、数理の過去問を見てみても、線形代数でジョルダン標準形を誘導なしで求めるものは存在しません。過去問をなるべく多く見て、どの程度が出題範囲なのか予測できると的確に対策できるかもしれません。
専門科目ー問Aー
問Aは線形代数の問題です。私は、B1の前期の教養の線形代数で60点を取るなど、線形代数は本当に怪しかったです。院試の勉強を始めた段階で、ギリギリ行基本変形を用いて方程式が解けるかな?といった感じで、行列方程式は意味わからないですし固有値何それ?といった感じだった気がします。 基本的には先ほど書いた勉強方法で進めました。
教科書も念の為B1の時に使った線型空間論の教科書をざっと見ましたが、正直あまり役に立たなかったです。ある程度過去問を解いた後だと、それ以降の過去問も基本的に過去問の範囲を逸脱しない印象がありました。過去問に出ていない内容として、ジョルダン標準形の話や、表現行列の話(浅すぎてよくわかりませんが)などがあった気がします。少し触れておいたのは触れておいたのですが 使いませんでしたね特に。
本当にClaudeなどに持っている過去問をある程度なげて典型問題を解けるようにするのでいいのかなと思いました。ただ、たとえばユニタリ行列の性質や、rankの性質、detの性質など、性質はしっかり覚えておいた方がいいと思います。過去問でも「この性質知らんと解けへんやんけ!」という問題にかなり遭遇した気がします。
専門科目ー問Bー
問Bは微分積分の問題です。当然これも私はできるわけなく、院試対策を始めることにイプシロンNやイプシロンデルタの定義を思い出すところから始めました。 同様にClaudeに教科書を作ってもらい、ざっと性質を確認してから過去問を解き始めました。微積の印象としては、大学入試で使った考えを持っておいた方がいい部分が結構あった気がします。たとえば面積評価です。あとは忘れました。
あとは本当に、収束判定や、微分可能性の判定、広義積分の収束、重積分など基本的なことを本番焦らずできるように基礎を身につけるのが大事かなと感じました。過去問を解いていて、「あーこれマジで解ける気しない」というものは少なく、「これは解けたよなぁ、、、」となる問題が圧倒的に多かったです。
微積も一応、最後に教科書とチャートをざっと確認して知らない性質や知らない解き方についてまとめましたが令和入ってからの傾向的に、そこまで過去問で既出のもの以外に必要なものがあるようには感じられませんでした。過去問を解きながら、知らない性質が出てきたら教科書で確認するくらいでいいのかなと思います。
専門科目ー問4ー
問4は線形計画法の問題です。数理ではB3の時に数理計画法?のような授業がありました。数理の院試で出される問題は例年ほとんどシンプレックス法に関する問題なのでひたすらシンプレックス法を練習していました。 当然、院試の勉強を始める段階ではシンプレックス法なんて覚えていなかったので実質1からのスタートでした(数理計画法の授業落としてました)
一応シンプレックス法以外が過去に出た例はあります。(輸送最適化と最大流問題)ただこれらは対策が簡単なので軽くやっておけばいいのではないでしょうか。シンプレックス法に関しては、パラメータ入りの感度分析、双対定理、相補性定理、双体シンプレックス法などどんな最適化問題が出てもシンプレックス法で無理やり解ける くらいまで練習しておいた方がいいと思います。特に、min,max関数が入っているものは初見じゃ厳しいと思うのでぜひやっておいてください。
ただし、今年の問題では大きく変化していました。これでかなりの受験生が青ざめたと思います。 というのも、今までの線形計画法の問題でシンプレックス法が出されるときは、基本的に具体的な数値が与えられて計算することが 多かったのですが、今年はとてつもなく抽象的になっていました。極値の可能性を判定するラグランジュ関数を作って色々解けみたいな話だったのですが、私は不等式に対するラグランジュ関数の作り方を 知りませんでしたし、その後になんかよくわからない最適化条件を求めろ見たいなのもあって青ざめました。意味わからないのが2つ並んでいて絶望した記憶があります。
のちにも述べますが、私は結局線形計画法を本番で解答していません。 それほどやばい問題でした。今年がイレギュラーなだけかもしれませんが、来年以降受けられる方はもう少し抽象的な問題にもなれた方がいいと思います。
専門科目ー問6ー
問6は数理統計学の問題です。私はB3の時に統計学の点数がギリギリ60点だったのであんまりわかっていませんでした。ただ、大学受験の時にイキって数2Bで確率統計を解答するために勉強してたのと、 統計の授業も2、3個とっていたので無知無知ではありませんでした。
勉強法は他と全く同じで、過去問をひたすら解いていった形になります。この科目は特に教科書も使いませんでした。王道の確率分布の密度関数や期待値分散は導出とともに覚えるとして、 あとはあまり見覚えのない分布に関する問題が多い印象があるので、過去問でひたすら新しい分布に対するアプローチを練習すればいいと思います。
また、とんでもないことですが、私は本番で数理統計も選択していません。 まあこれで受かっているのがイキリ散らかしている理由なのですが、、、
正直、本番で確率統計の1番から計算ミスで解けませんでした。ただこれは勉強不足ではなく本当にしょうがなかったです。本番でめちゃめちゃ焦ってました。得意だったシンプレックス法が1問も わからなくて、統計も1番から1回計算合わなかったらビビりますよね。許して。
専門科目ー問7ー
問7はオートマトンの問題です。私はB2,B3とオートマトンの授業を取っていて両方成績が珍しく良かったので、この科目だけは初めから自信がありました。
ただ結論から言うと、本番で1番から間違えて全ロスしました 本当にどう言うこと?裏口入学ですか?
それは後に回すとして、勉強方法も他と同じですね。ただ、弊学で利用したオートマトンの教科書には、プッシュダウンオートマトンや、チョムスキー標準形なども載っていますが、今まで印紙で出されたことはありません。 NFAからDFAを構成する問題も、なぜか今年初めて出題されましたが今までなかった気がします。このように、出題範囲が限られている可能性があるので十分注意してください。
一応試験1週間くらい前に、数理の授業で使った教科書に載っている演習問題をざっと確認しました。過去問の中に、この演習問題と全く一緒のものが何個かありました。内部生の方は教科書持っていると思うのでぜひ対策してみてください。
1日の勉強スタイル・集中のコツ
- 勉強場所: 研究室ですね。大岡山にあり、クーラーつけ放題なので気が楽です。あと静か。
- モチベーション維持: これは、過去問を解くことをメインにすると感じやすいのですが、徐々に溶けるものが増えてくることに快感を覚えるのが一番大事だと思います。大学受験を思い出してもそうですが、結構難しそうな 問題を解けた時って気持ちいいですよね。その感覚をもう一度思い出してみてください。特に内部生の方なら受験生時代数学好きだったと思うのでなんとなくわかるのではないかなと思います。頑張ってください。
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